設計士・工務店向け:自宅サウナ設計の完全ガイド

この記事は、自宅にサウナを新築またはリノベーションする予定の施主や、小規模な商業サウナ施設を設計・建設する業者に向けて執筆されています。

もし自宅にサウナを設置したいと考えているが、どこに依頼すれば良いか分からない方々にとって、本記事は貴重な情報源となるでしょう。

この記事にはサウナや水風呂の設計から施工に至るまでの詳細な情報が含まれており、設計者や建築業者にそのまま共有することでプロジェクトをスムーズに進めることが可能です。

内容には、サウナ室の基本的な設計原則、図面の作成、水風呂の設備設計、機器選定など、幅広いトピックがカバーされています。

ただし、一部には大規模な業務用サウナ室の構造に関する記述も含まれていますので、小規模なサウナや家庭用サウナの場合は、設計者の判断でこれらの情報を省略していただくことをお勧めします。

蒸風呂好太郎

下記の記事で私の自宅サウナを紹介しています。

当社は、欧州の複数のサウナメーカーからの豊富なサウナヒーター納入実績を持っています。
お客様のサウナ室のサイズや構造に合わせた最適なサウナヒーターの選定を支援し、個人輸入代行、さらには電気工事士や工務店向けの施工アドバイスも提供しています。
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目次

自宅サウナを実現するための5つの方法

この記事では、主に①住宅と一体になった造り付けサウナの設計方法について説明しています。

①住宅に組み込まれた造り付けサウナ

著者の自宅サウナは造り付けタイプ
浴室の隣に併設している

住宅に組み込まれた造り付けサウナの建設にあたり、多くの設計士や工務店がサウナ室の建築や施工方法に精通していないことが一般的な問題として挙げられます。

この記事では、そのような問題に対応するために、サウナ室の基本設計概念を始め、詳細な図面を用いて丁寧に解説しています。これにより、サウナ室の建設に必要な知識と理解を深めることができるようになっています。

②既製品の箱型サウナ室を住宅に組み込む

日本市場には、既製品の箱型サウナが販売されており、住宅に迅速かつ簡単にサウナを組み込みたい場合、これらの既製品の購入が一つの有効な選択肢となります。

以前取材した自宅サウナ
メトス社のクリマサウナを住宅に組み込んだ例
蒸風呂好太郎

ご参考までにメトス社のクリマサウナの詳細は下記をご覧ください。

クリマサウナの1人用が税抜160万円という価格設定を考えると、①の住宅建築の際に造り付けサウナを設計・施工する方がコストを抑えることが可能です。
既製品サウナは確かに便利で速やかな設置が可能ですが、価格面では造り付けのオプションに比べて割高と感じられるケースが多いです。
住宅建築の初期段階でサウナの設置を計画することにより、コストをより効果的に管理し、カスタマイズの余地も広がります。

③屋内用のテントサウナ

自宅の室内やベランダで簡易的なテントサウナを設置して自宅サウナを実現するという選択肢は、予算や設置の手軽さを考慮すると魅力的です。
このようなテントサウナは、低予算でも十分に楽しむことができ、10万円未満で購入可能な商品も市場には存在します。
設置が容易でありながら、本格的なサウナ体験を提供するため、限られたスペースや予算を有効活用したい方にとっては理想的な選択と言えるでしょう。

蒸風呂好太郎

下記の写真が自宅テントサウナの実例です!

蒸風呂好太郎

下記のようなおひとり様用のテントと電気サウナヒーター(100V電源)のセットも販売されているので手軽に自宅サウナが実現できてしまいます!

おうちdeサウナ

定価 ¥120,000が34%OFFで今なら¥79,200税込で購入可能です!

④庭などの住宅の敷地内にサウナ小屋をつくる

敷地が広い場合、庭にサウナ小屋を建てるのは素晴らしい選択です。
この方法では、自宅の快適さを損なうことなく、プライベートなサウナ体験を実現できます。

ただし、サウナ小屋を庭に建設する際には、プライバシーの保護が重要となります。
隣家からの視線を遮るためには、高い塀の設置や植栽による目隠しの工夫などが必要です。

本記事のサウナ室の設計の項目の内容はサウナ小屋の建築にも役に立ちますが、下記のムック本『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』の中で紹介されている図面付きのサウナ小屋の設計方法があれば完結できると思うので、こちらの書籍の購入もおすすめです!

蒸風呂好太郎

下記の書籍で材料費約37万円でサウナ小屋を作る方法が設計図付きで記載されているのでおすすめです。

⑤庭など住宅の外にバレルサウナを購入して設置する

Alibabaなどのプラットフォームを利用すると、バレルサウナを比較的安価に購入することが可能です。

しかし、バレルサウナには断熱構造がほとんどなく、屋根や外壁の防水対策に関しても不安要素があります。
これらの理由から、個人的にはバレルサウナの使用を推奨していません。
そのため、この記事ではバレルサウナに関する情報は特に取り上げていません。

バレルサウナは比較的安価で入手しやすいですが、長期的な使用を考えた場合、その品質や耐久性に関する懸念が重要な考慮点となります。

サウナ室に入る前の前室
薪ストーブが採用されているが、電気ストーブを入れることも可能

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著者の自宅サウナ環境にかかった費用

以下に示す費用は、2020年に自宅を建設した際の工務店からの内訳明細書に基づいたものです。
これらの数字はウッドショック前のものであり、現在は木材価格の高騰や物価の上昇により、実際の費用はこれらの数値より高くなると予想されます。

しかし、これらは著者が実際に支払った費用の詳細をまとめたものであるため、あくまで参考としてご覧いただくことをお勧めします。

ご自身のプロジェクトにおける予算計画を立てる際、これらの情報は有益な基準点となる可能性がありますが、現在の市場状況を考慮した上での見積もりが重要です。

サウナ室
  • 桧縁甲板:240,000
  • サウナ室のヒノキ板張工事:68,000
  • 野材 桧化粧:40,000
  • ガラリ(給排気口):28,500
  • ケイカル板(不燃材):38,000
  • サウナ室の制作費:200,000
  • サウナヒーター(泉興産MISA Kolibri4.5kW):500,000
  • サウナヒーター電源配線工事:40,000

小計:1,154,500円

水風呂とチラー
  • 水風呂浴槽(大和重工五右衛門風呂):158,400
  • チラー(オリオン RKS400F-S):225,900

小計:384,300円

合計:1,538,800円

上記金額に加え、チラーおよび水風呂の設備工事費用や外気浴スペース用のウッドデッキ費用も考慮する必要があります。しかし、住宅建築費用の中からサウナ環境に特化した費用の正確な算出は困難であるため、これらの詳細は省略しています。

さらに、住宅の新築時にサウナ室の建設からチラー等の設備工事までを同一の工務店に依頼したため、上記の価格でサウナの実現が可能でした。
リフォームでサウナ環境を構築する場合、解体費用なども加わるため、コストはさらに上昇することが予想されます。

それにもかかわらず、既製品の箱型サウナであるメトス社製クリマサウナの1人用が1,485,000円であることを考えると、著者の自宅サウナはかなりコスト効率の良い方法で実現されたと言えます。

新車の軽自動車の価格未満で自宅サウナが実現可能できました。

価格.comより引用

サウナ設計の心得:入浴体験から生まれる理解

サウナの計画において最も重要なのは、計画者自身がサウナに関して深い理解を持ち、実際に入浴体験をしていることです。

あるフィンランド人は、「サウナに入ったことがない人がサウナを計画・設計することは不可能」と述べています。これは、サウナの本質を理解するためには、実際のサウナ体験が不可欠であることを意味しています。

サウナを新しく持とうと考えている方や、初めてサウナを設計する方には、ぜひ実際にサウナ入浴を体験していただきたいと思います。

そして、その際は高品質な本格的なサウナを選んでください。

サウナが単なる発汗の場ではなく、リラクゼーション、健康、そして文化の一部であるという深い理解を得ることが重要です。

実際のサウナ体験を通じて、サウナ設計の本質と精神を捉えることができるでしょう。

フィンランド人

本格的なサウナに入ったことのない人に、良いサウナは作れないでしょう!

サウナ室の形状・構造

蒸風呂好太郎

さて、ここからが本題のサウナ室の設計のご説明です!

サウナ室の形状

サウナ室内の高さ寸法の目安

サウナ室の平面の形は矩形(それぞれの角が直角である四辺形)などの単純な形とし、サウナ室全体を耐火構造体で包み(上下階スラブ共)サウナ室自体を防火区画とします

凹凸が多い不整形なサウナ室や極端に細長い形状は、熱効率や施工上の観点から好ましくありません。

また、断熱層(100~150mmの厚み)やストーブのサイズと必要なクリアランス、ベンチの形状なども考慮に入れる必要があります。

これらを無視して間仕切壁の設計のみを先行させてしまうと、後にストーブが設置できなかったり、ベンチを希望通りに作れなかったりする問題が生じる可能性があります。

特に業務用サウナの場合、壁芯々の距離は短辺で最低1,700mm以上なければ、効率的な面積の活用は困難です。サウナ室の設計においては、これらの要素を充分に検討し、適切な計画を立てることが重要です。

つくり付けサウナの最小単位

ベンチ・壁

サウナのベンチは、利用者が自分の好みに合わせて温度を選べるように、階段状に2段から3段に設計するのが理想的です。

通常、高温エリアでは一度の入浴時間は約10分程度ですが、低温エリア(40~60℃)では20~30分程度の長時間の入浴が可能です。

ベンチの平面形状に関しては、直線型U字型L字型などのシンプルなデザインが望ましいです。これらの形状は、収容能力が高く、入浴者が少ない時には横になってリラックスすることも可能です。

機能性と快適性を兼ね備えたベンチ設計は、サウナ体験をより快適なものにするために重要な要素です。

サウナベンチの配置バリエーション

適当なベンチ幅は450〜700mmです。

サウナ室、洗い場、脱衣室で構成される

サウナを構成する三つの重要な部屋
  • サウナ室
  • 洗い場(浴室)
  • 脱衣室


これらが基本構成となりますが、理想的には、サウナ利用後に涼むためのテラスやベランダ、そしてトイレが近くにあると便利です。

昔のフィンランドのサウナでは、サウナ内部で身体を洗う習慣が一般的でしたが、現代では洗い場をサウナ室とは別に設けるのが普通です。これにより、サウナ体験の利便性と快適性が向上します。

サウナ室の大きさ

サウナのサイズは、一度に入浴できる人数によって決定されます。

サウナ室の大きさは最小でも3.2㎡位の床面積が必要です。

3.2㎡、つまり1.8m×1.8mのサイズは、約2畳(1坪)の広さに相当します。

このサウナの床面積については、近年フィンランド国内でも多く議論されています。

最近のフィンランドでは、単身者向けのワンルーム住宅にもサウナを設けるケースが増えており、そのサイズは約2㎡(1畳弱)という小規模なものです。

しかし、多くのフィンランド人は、家族向けサウナはもちろん、個人用サウナであっても最低限3㎡以上のスペースが必要だと考えています。
3㎡未満のサウナは、本来のサウナの機能を果たしにくく、単なる発汗用の小さなキュービクル(箱)になってしまうというのが一般的な見解です。

サウナは、単に汗をかく場所というだけのものではなく、リラックスと心地よさを享受するための空間です。
そのためには適切な大きさが非常に重要な要素となります。

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サウナ室の配置プラン

プランA

最も簡単なサウナで、別荘のサウナ小屋に多く見られる形式。
涼むためのベランダで脱衣も行い、サウナ内部で体を洗う。

最もシンプルなサウナの形態は、サウナ小屋とベランダを組み合わせたスタイルです。

この配置では、ベランダが脱衣スペースとして機能し、利用者はここで服を脱ぎ着します。

一方、サウナ室内ではロウリュ(水蒸気)を楽しんだり、体を洗ったりすることができます。
この組み合わせにより、サウナ体験の中での快適さと利便性が向上します。


プランB

プランBは、プランAよりも優れた選択肢であり、サウナとベランダに加えて、脱衣室(休憩室)が設けられています。

この配置では、服を脱いだり着たりする行為は脱衣室(休憩室)で行われます。

休憩室の存在は、サウナ体験をより快適でリラックスしたものにし、利用者にプライベートな空間を提供します。サウナの後にこの部屋で休むことにより、心身ともにリフレッシュできるのがこのプランの特徴です。

サウナとベランダの他に脱衣室を設けたもの。
脱衣室は休息する場所にもなる。

プランC(おすすめ)

より洗練されたサウナの構成では、サウナ室とは別に専用の洗い場が設けられています。

日本の住宅でサウナを計画する際、既存の浴室を洗い場として活用することができるため、このアプローチは比較的容易です。

この構成は、フィンランドで最も一般的なサウナの形態に相当し、洗い場にはシャワー設備が備わっていますが、浴槽があることは珍しいです。

この分離された洗い場の設計は、サウナ利用の効率性と快適性を大いに高めるものです。

サウナとベランダの他に脱衣室と洗い場を設けたもの。
住宅では最も一般的な形式だが、都市部ではベランダやテラスを設けるのは難しいかもしれない。

下記の図はサウナ、洗い場、脱衣室を含む構成を示しています。

さらに、ベランダやテラスが涼むためのスペースとして付属している場合、サウナ体験はより快適になります。

これらの空間の規模や相互の位置関係は、図に示された通りが一般的です。
この配置は、サウナ利用の流れをスムーズにし、利用者に最適なリラクゼーション体験を提供します。

蒸風呂好太郎

サウナ室のドアは洗い場でなく、脱衣室に向けてもOKです!

サウナの立地条件

住宅サウナ設計の理想的な配置

住宅にサウナを設ける際、理想的には住宅とは別の建物としてサウナを建設することです。
しかし、現代の都市環境では敷地が狭く、別棟でのサウナ建設は通常困難になっています。

それでも、住宅内部で質の高いサウナを作ることは十分可能です。

サウナを設置する上で重要なのは、サウナが他の部屋と隔絶された場所に位置することです。
また、主要な生活空間とは異なる階にサウナを配置するのも効果的です。

サウナの位置付けは、家族専用か、それとも接客用としても使用するかによって異なります。
居間や台所などの主要な部屋を横切ってサウナへ向かうような配置は避けるべきです。
理想的には、住居の端にサウナを設けることで、プライバシーを確保し、快適なサウナ体験を提供できます。

サウナは1階に作った方が良い

住宅の設計において、防水性や安全性が最優先される中、一般的に浴室は1階に設置されることが多いです。

この配置は、水漏れのリスクを軽減し、緊急時のアクセスを容易にするためです。同様の理由から、サウナ室も通常は浴室に隣接する形で1階に設けられることが推奨されます。

サウナの利用は年間を通じて想定されるため、その近くには浴室と脱衣室が必要です。これは、サウナ利用後の快適な移動と利便性を確保するためです。サウナから直接浴室へと移動できる設計は、利用者の体温調整にも最適です。

ただし、建物の設計が既に浴室を2階以上に設けており、さらに外気浴を楽しめるベランダやテラスが併設されている場合は、サウナをその階に設置することも可能です。このような配置は、特に美しい景観を楽しみながらの外気浴に適していますが、構造上の改造が必要になることやコストが増加する可能性があります。

低層階への設置は、防水対策、安全性、およびコスト削減の観点から見ても最適な選択と言えるでしょう。高層階への設置を考える際は、それに伴う追加コストや設計上の課題を十分に検討することが重要です。

別荘に最適なサウナの設計と配置

別荘やサマーコテージにサウナを設置する際、最も初めに決めるべきことは、サウナを母屋の一部とするか、独立したサウナ小屋として建てるかです。どちらの選択も、敷地の広さや個々のライフスタイルによって異なります。

敷地が広い場合

敷地が広い場合、独立したサウナ小屋を建てることが理想的です。これにより、自然に囲まれたプライベートなリラクゼーション空間を確保できます。サウナ小屋を建てる際は、敷地内で風向きや景観を最大限に活用できる位置を選ぶことが重要です。また、地域の建築規制や自然保護規制に留意し、計画を進める必要があります。

敷地が限られている場合

一方、敷地が限られている場合や利便性を重視する場合は、母屋にサウナを組み込むことも選択肢となります。この場合、サウナは住宅のレイアウトにうまく統合されるように設計され、家族の日常生活に容易にアクセスできるよう配慮する必要があります。

どちらのオプションを選択するにせよ、サウナは別荘生活の豊かな一部として、リラクゼーションや娯楽の場として大きな役割を果たします。サウナの窓は最も美しい景色を捉える方向に設定し、日当たりが良い方向に向けるのが理想的です。ドアは住居へのアクセスを考慮して、使い勝手の良い位置に配置することが推奨されます。

このように別荘にサウナを設計する際は、機能性だけでなく、美観と環境の調和も重要視されるため、詳細な計画と周到な検討が必要です。

サウナ室の天井高を最適に保つ

一般的な住宅サウナの高さ寸法

家庭用サウナを設計する際には、適切な容積が求められます。一般的な最小サイズは約6~8立方メートルで、これに基づいて天井高が200cmと設定されることが多く、その結果、床面積は約3~4平方メートルになります。

サウナの天井高は温度管理の効率と直接関連しています。

天井が高すぎると、暖かい空気が上昇し、床付近の温度が低下するため、エネルギーの無駄遣いにつながります。

一方で、天井が低すぎると、使用時の快適性が損なわれることがあります。そのため、サウナベンチの高さを考慮して、天井を可能な限り低く設定することが推奨されます。

適切な天井高は、使用者の身長に必要な余裕を加えて決めることが一般的です。家庭用サウナでは天井高が200~220cmが理想的であり、より大規模な商業用サウナでは240~280cmの高さが適しています。これにより、最適なサウナ体験と効率的な熱管理を実現することができます。

サウナベンチ

サウナストーブはベンチよりも低く設置する

サウナの快適さを最大限に引き出すためには、サウナストーブとサウナベンチの相対的な配置が非常に重要です。特にロウリュ(水蒸気)体験の質は、ストーブの石から発生する熱い空気の流れ方に大きく依存しています。

サウナストーブはベンチよりも低い位置に設置されるべきです。この配置により、熱い空気は自然に上昇し、ストーブ上部の石から発生するロウリュがベンチに座っている利用者に直接届きやすくなります。

理想的には、ベンチは床から約1メートル以上の高さに設置されるべきです。この高さは、サウナ内で熱い空気が効率的に循環し、均一な温度分布を実現するのに役立ちます。もしベンチの高さを確保するのが難しい場合は、サウナストーブをさらに低い位置に設置することで、適切な高さバランスを調整することが推奨されます。

このような設計により、サウナ内の温度分布が最適化され、快適で満足度の高いロウリュ体験が提供されることでしょう。

サウナヒーターの床埋めによる最適配置

下記写真はタワー型のサウナヒーターを耐熱カラーで囲み、床面に埋め込むことで、ヒーターをサウナベンチよりも低く設置することができます。これにより、熱が効率的に上昇し、ベンチに座っている利用者がロウリュの熱を直接感じることができるようになります。

耐熱のガラスカラー(枠)を用いてサウナの床にヒーターを埋め込んでいる
ヒーターを床に埋め込むことでサウナ室内の空間をより広く感じさせる効果もある

この設計は、サウナ内の熱分布を最適化し、全体的な熱効率を高めるのに役立ちます。

また、視覚的にも魅力的で、サウナ室内の空間をより広く感じさせる効果もあります。サウナ室のデザインにおいては、このような革新的なアプローチが、利用者にとってより快適で満足度の高い経験を提供するための鍵となります。

\ 上記のサウナヒーター納品できます! /

快適なリラックスタイムのためのサウナベンチ設計

サウナベンチの設計においては、その長さが利用者の快適性に直接影響します。一般的に、サウナベンチは約60〜70cmの幅が必要とされ、最低限であっても45cmの幅が求められます。

サウナルームのスペースが許す場合、利用者が完全に横になることができるサイズのベンチの設計が推奨されます。このようなベンチでは、リラックス時に頭を低くし、足を若干高くする姿勢が取りやすくなります。この姿勢は、全体的な快適さを向上させ、リラクゼーション効果を最大化します。

加えて、ベンチの前に足を置くための丸太や手すりを設置することも一つの方法です。この設備は、足の負担を軽減し、長時間のサウナ利用でも快適に過ごすことを助けます。北欧のサウナでは、このような設計が広く採用されており、利用者からの評価も高いです。

住宅のサウナでの動作とベンチの必要寸法
サウナベンチの足乗せ

奥行き方向に横になるベンチの例。日本ではあまり一般的ではないが、フィンランドではよく見かける。

ベンチに横になるには二つの方法

サウナベンチで横になる方法には、主に二つのアプローチがあります。

  • ベンチの長手方向に横になる方法
  • 奥行方向に横になる方法

長手方向に横になるためには、ベンチに十分な長さが必要です。
一方、奥行方向に横になる場合は、ベンチの奥行きをより深くし、足を置くための足置き台が必要になります。

ベンチの奥行きに関しては、座るだけの場合は50~60cmが適切です。

長手方向に横になる場合は60~80cm、奥行方向に横になる場合は90~150cmの奥行きが望ましいです。

ベンチの長さに関しては、どちらの場合でも180~200cm程度が理想的とされます。
これらの寸法を考慮することで、サウナベンチは快適に利用できるようになります。

サウナベンチの必要な奥行寸法
  • 座るだけの場合:50~60cm
  • 長手方向に横になる場:60~80cm
  • 奥行方向に横になる場合:90~150cm

横になれるサウナベンチのその他実例イメージ

サウナ室の材料は何を選ぶか

フィンランドの伝統的なサウナに使われる主な材料はモミ、またはスプルース(ベイトウヒ:米唐檜)です。
その中でも節のないモミは最高品質の材料とされています。
これらの木材は、サウナの用途に適した特性を持っているため、好まれています。

しかし、フィンランドでこれらの樹種が選ばれる主な理由は、フィンランド人にとって入手しやすい材木であることにあります。
日本においては、サウナに適した他の材木を使用することも全く問題ありません。

例えば、梅の木はサウナ材料として優れていると言えます。
肌目が細かく、耐水性に優れており、特有の芳香が魅力的です。

また、日本においては、壁材や天井材としてひのきが一般的であり、これらもサウナの建材として容易に手に入れることができるでしょう。

また無垢のフローリング材をサウナの壁材として代用するのも良いアイデアです。

サウナ室の内壁に焼杉を用いる

サウナ室の内壁に焼杉を使用すると、多くのメリットが得られます。

焼杉

焼杉のメリット

  1. 耐久性: 焼杉は表面が炭化しているため、耐水性や耐腐食性が向上します。これはサウナのような高温多湿の環境に適しています。
  2. 防虫・防腐効果: 焼材は天然の防虫・防腐効果を持ち、サウナ室内での木材の劣化を防ぎます。
  3. 美観: 焼杉は独特の風合いと色合いを持ち、サウナ室にユニークな美的要素をもたらします。
  4. 環境に優しい: 化学物質を使用せずに処理されるため、環境に優しく、アレルギーの心配が少ないです。

焼杉のデメリット

  1. コスト: 焼杉は通常の木材よりも加工が複雑で、コストが高くなる可能性があります。
  2. 表面の炭化: 表面が炭化しているため、触れると炭の粉が手に付着することがあります。定期的なメンテナンスが必要です。
    →バックレスト(背もたれ)やベンチ等の直接肌に触れる部分は焼いていない無垢木材を使用することで炭の粉が付着することは防げます。
蒸風呂好太郎

以上のことから、焼杉は機能的にもデザイン的にもをサウナ室の内壁に適していると思います。

サウナストーブ周り

こちらの記述は業務用サウナに特化したものとなっているため、防火基準や対価基準は設計者の判断で省略していただけます。

サウナ室内でのストーブの配置に関しては、ベンチの配置を最適化するために、通常は入口付近の隅に設置されることが一般的です。

サウナストーブ周辺の壁と天井は、安全性を確保するために不燃材料で仕上げることが重要です。
この配置と仕上げ方法により、サウナ室内の空間を効率的に利用し、同時に安全基準を満たすことが可能になります。

ストーブ周り

ストーブ周りの素材は不燃材であるタイル・レンガ・坑火石・石綿スレート板などがよく使われています。

サウナストーブ周りをスレート波板で囲った事例

サウナストーブ周りの壁には、特にタイルが頻繁に使用されます。タイルは炉器質か磁器質のものが好ましく、特に炉器質のタイルはモルタルとの相性が良く、剥離しにくい特性を持っているため、ストーブ周りの壁に特に適しています。

陶器質(磁器)タイルを使う場合は、ドライアウトを防ぐために十分な水湿みずしめし処理が必要です。
タイルの貼り方には、積上げ貼り(ダンゴ貼り)、改良積上げ貼り、密着貼りなどが適しています。
最近では、品質の良い有機質接着剤が使われており、下地が適切であればエポキシ樹脂系の接着剤の使用も可能です。

ベンチ側では、ブロックやレンガを腰の高さまで積み上げてストーブを囲む方法があります。
この際、室内の空気対流がスムーズに行われるよう、下部に空気孔を設けてストーブ周りの熱がこもらないように注意します。
また、保守・点検や防火のためにストーブ周りには適切なスペース(容量に応じて100~200mm)が必要です。
これらのクリアランスや囲いの高さは、地域によって消防関連の法規で規定されている場合があるため、確認が必要です。

サウナストーブ廻りの壁

サウナストーブ周りは防火の観点から不燃材で構築されます。
上記の図では、レンガタイルの壁面と天井に更に防熱板を設置しています。
不燃材の使用範囲は、各自治体の火災予防条例における技術基準で定められているため、これらの規定を確認することが重要です。
このような措置により、サウナの安全性が確保され、火災リスクを最小限に抑えることができます。

サウナストーブとの最低保有距離

下記図はサウナストーブの回りに不燃材の囲いを設け、壁を不燃材とした場合の最低保有距離です。

最低保有距離(壁を不燃材にした場合)

a =不燃材で仕上げなければならない範囲
b=ストーブから不燃材の壁・囲いまでの距離
c=ストーブ上端から天井までの距離
d=天井から防熱板までの距離

下記図はサウナストーブの回りを開放し、壁を不燃材としない場合の最低保有距離

最低保有距離(壁を不燃材にしない場合)

a =不燃材で仕上げなければならない範囲
b=ストーブから不燃材の壁・囲いまでの距離
c=ストーブ上端から天井までの距離
d=天井から防熱板までの距離

サウナ室の開口部(給排気口・ドア)

サウナ室の開口部としては、換気用の給排気口出入口などがあります。

給排気口

フィンランドの伝統的サウナでは、給気口と反対側の壁面に排気口を設けますが、その高さは給気口より少し高い程度です。

適切に給排気口を設置することでストーブ上のサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させた際に室内の気圧が上がると同時に、対流による換気がより速やかに行われます。

適度なロウリュを楽しむためには、同様の方法により熱気と湿度の波を作り出す必要があり、この限りにおいては、給排気口の位置は前述のとおりがよいといえます。

給気口はストーブの裏側に床上20~30cm排気口は給気口と対面に床上170〜190cmくらいの高さに設け自然換気しているサウナが多くみられます。
なお、排気口には防火ダンパー付きのものを使用し、ダンパーの天端から天井まで50cm以上離したいものです(業務用の場合)。

サウナ室の給排気口
蒸風呂好太郎

サウナ室の換気システムの詳細について、下記記事でも詳しく記載しておりますのでご覧ください。

サウナ室のドア

サウナ室の出入口ドアは安全と利便性を考慮して外開きにします。

サウナ室の扉は、延焼防止、保健衛生、保温・断熱という三つの重要な要素を満たす構造が求められます。
これはサウナ室の窓にも同様に適用されます。

サウナ室に使用されるドアの金属部品は、サウナ室内に露出しないよう、木材などでカバーする必要があります。これにより、金属部品が高温にさらされることによるリスクを避けることができます。

サウナのドアの取手は、利用者が触れた際に熱さを感じないようにするために、木材で作成することが望ましいです。木材は熱伝導率が低く、高温になるサウナ内でも安全に使用できます。金属や石材のように熱を容易に伝える素材は、ドアの取手には適していません。これらの素材は温度が高くなると触れることが困難になり、使用者にとってリスクとなるため、避けるべきです。

サウナのドア金具は外側設置で安全性と機能性を向上

また、ドアチェックや蝶番は熱により油が落ちるのを防ぐため、サウナ室の外側に設置することが推奨されます。これにより、サウナ室内の安全性と機能性が向上します。

サウナのドアの構造

保温・断熱・結露の予防

サウナ室内の温度は通常の室温に比べて大変高温であり、天井付近では100℃以上にも達し、ストーブ周りではさらに高温となります。

そのため、省エネルギー・防火・防露の対策の観点から保温・断熱工事が必要になってきます。

天井・壁の断熱構造の一例

上記の図に示された方法に限定する必要はありませんが、断熱構造を構築する際の重要な注意事項を以下に示します。

断熱材には、不燃性の材料を使用することが必須です。ここで推奨されるのは、ロックウールやグラスウールのような材料です。

可燃性の材料、有害な物質を発するもの、または高熱によって断熱能力が低下する材料の使用は避けるべきです。これにより、サウナ室の安全性と機能性を確保し、長期的な使用においても最適な環境を維持することができます。

サウナの壁は防湿が重要

サウナの壁構造は、通常の部屋とは大きく異なります。

サウナ室内では、高温と適度な湿度を長時間維持することが必要です。
このため、壁や天井には断熱材を施し、さらに断熱材と化粧板の間には防湿膜を設置することが不可欠です。
これにより、サウナ室内の環境を最適に保ち、効率的に熱と湿度を管理することができます。

アルミシートを使用した防湿施工の例

防湿層の施工を怠ると、サウナ室内の湿気が断熱材やその他の建材に浸透してしまいます。
これにより、壁内部で結露が発生し、最悪の場合、壁の内部でカビが生じるリスクがあります。
サウナの高湿度環境は壁内部の湿気管理が非常に重要であり、適切な防湿対策が不可欠です。このような問題を防ぐためには、壁と天井の構造に適切な防湿層を設けることが必要です。

サウナヒーターを使って加熱しても、壁内の結露を完全に乾燥させることは難しいです。
壁や天井に使用される防湿材は、湿気が室外へ漏れないようにするために不可欠です。
そのため、施工時には穴が開かないように注意することが重要です。

たとえ小さな穴であっても、ロウリュの湿気がそこから漏れ出し、結果として釘穴などから年間にバケツ一杯分の水分が失われると言われています。
このような水分の漏出は、サウナ室の品質と効率に悪影響を及ぼす可能性があります。

防湿シートの継ぎ目は、お互いに10~15cm程度重なるようにして施工し、その上から防水テープ(アルミテープなど)でしっかりと密封することが推奨されます。
これにより、防湿層の効果を最大限に発揮し、サウナ室内の湿気管理を効果的に行うことができます。

壁内には少なくとも100mm位の断熱材と通気層、防湿材が必要です。

防湿膜はアルミシートが最適

業務用サウナの防湿膜には、実績と安定性を考慮してアスファルト防水が頻繁に使用され、その信頼性が高く評価されています。
一方で、家庭用サウナや使用頻度が少ない小規模サウナでは、モルタル防水が採用されることもあります。
しかし、モルタル防水は劣化しやすいため、必ずしも最良の選択とは言えません。

近年では、シート防水や塗膜防水の品質が向上しており、特に家庭用サウナにおいては、アルミシートとアルミテープを用いたシート防水がコストパフォーマンスと効果の両面で適しています。

アルミはサウナから発生する遠赤外線を反射する作用があり、入浴者をより効果的に温める効果もあるため、サウナの防湿シートとしては最適な選択肢と言えます。

蒸風呂好太郎

防湿のアルミシートは下記のような資材が販売されていますのでご参考までに!

蒸風呂好太郎

下記のYouTubeでアルミシートを使用したサウナ室壁内の防湿シートの施工方法が解説されています。
日本語字幕を使用してご覧ください。

アルミシートと一体になったウレタンフォーム断熱パネル

蒸風呂好太郎

こちらのアキレスボードALNはウレタンフォームの断熱材とアルミシートが一体になっているため施工しやすくおすすめです!

また、ネットショップでは見つけられませんでしたが上記と同じアキレス株式会社の商品でジーワンボードというアルミ箔面を有した超高性能硬質ウレタンフォーム断熱材もサウナ用の断熱+防湿の建材として最適です。

サウナ室の壁に空気層を設ける

サウナの壁に設ける空気層の幅は15~25mm程度が適切です。
この空気層は、サウナ室内に開放されることで効果的に機能します。

適切な通気層がある場合、サウナは素早く高温になり、壁面や壁裏の乾燥も早まります。
サウナを長持ちさせる上で重要なのは、壁内の結露を防ぐことです。

サウナの主要な損耗原因の一つは木材の腐食ですが、壁裏の通気を適切に行えば、結露はほとんど発生せず、サウナの寿命が大幅に延びます。さらに、この空気層は断熱効果を高める役割も担います。

しかし、空気層が厚すぎると対流が生じ、熱が伝わりやすくなり、逆効果になることもあります。
そのため、空気層の厚さは15~25mmが理想的であり、垂木たるきなどによる適切な分割が望ましいです。

施工の際には、断熱材や空気層をサンドイッチするボード類の突き合わせ部分や隅部を丁寧にシーリングすることが必要です。
気密性が低いと、断熱構造の効果が大幅に減少します。

通気層を儲けることで、万が一火災が発生した場合でも表面仕上げ材だけが燃焼し、断熱構造部分は損傷しない程度の構造を目指すことが重要です。

通気層の詳細

サウナの通気層は、断熱と壁内結露を防止する観点から「できれば設けることが望ましい」程度に考えて良いでしょう。ただし、サウナ室のスペースの制限や予算の制約がある場合、通気層の設置は必須ではありません。スペースや費用の面で施工が難しい場合は、通気層を省略しても問題ありません。

蒸風呂好太郎

重要なのは、サウナ室がその他の要件を満たしていることであり、通気層は状況に応じて柔軟に対応することが可能です。

床の断熱

サウナ室の床の保温・断熱は下記図のような機造が理想的です。

図14 床
床の断熱

サウナ室内の床面に断熱施工を行うことは、温度分布の改善に大きく寄与し、より快適な入浴体験を提供します。そのため、床の保温・断熱工事は計画において重要な要素となります。

保温・断熱は省エネルギーと防火に寄与するだけでなく、結露防止にも非常に効果的です。
適切な保温・断熱処理が施されていないサウナ室では、天井裏や断熱層内部の躯体表面で大量の結露が発生し、これが天井や壁の下地材、さらには仕上げ材の温度低下、風化、腐朽を早める原因となります。

このため、断熱工事の実施は非常に重要であり、サウナ室が外壁や屋上スラブの一部を構成している場合、これらの外気に接する部分にも特別な配慮が必要です。
特に、建物の出隅部分は熱放出が大きく、結露が生じやすいため、ここにも十分な注意を払う必要があります。

サウナ室躯体の断熱

サウナ室内や天井裏に冷水管やその他の冷却要素が存在する場合、これらは結露の原因となり、内装工事の成果を台無しにしてしまうリスクがあります。そのため、サウナの設計や施工を行う初期段階から、設備計画との綿密な調整が非常に重要です。

冷水管や冷却機能を持つ設備はサウナ室の高温環境と相反するため、これらが適切に配慮されないと、壁や天井での結露が生じ、長期的な損傷やメンテナンスの問題を引き起こす可能性があります。サウナ室の効果的な運用と保守のためには、これらの設備とサウナ室内の温熱環境の両方を考慮した包括的な計画が必要となります。

防水層

こちらは業務用のサウナ用に書かれていますので、住宅用サウナでは防水層は省略してもOKです。

サウナ室内の水洗いを想定している場合、防水層の設置は絶対に必要です。
この防水層は、サウナ室の水洗いを可能にするだけでなく、浴室からサウナ室への水の浸透やサウナ室内での結露を防ぐためにも重要です。

特にサウナ室が建物の最下階に位置している場合、地中の湿気がサウナ室内に侵入することを防ぐためにも、防水層の設置が推奨されます。

サウナ室は通常、湿度が低いため、わずかな水分でもサウナ室内に吸収されやすくなります。
この水分は水蒸気に変わり、サウナ室の様々な部分で結露を引き起こすことがあり、天井、壁、ベンチが短期間で使用不可能になるリスクがあります。

どのような状況でも、材質や施工方法を慎重に検討し、時間の経過と共に品質が劣化したり、躯体の変化によって防水膜が破れたりすることがないよう注意することが重要です。

また、業務用サウナの場合、防水膜の保護層として軽量コンクリートを60~100mm程度設けることが必要です。これは床断熱材の保護も兼ねており、サウナ室の長期的な機能性と耐久性を保つために不可欠です。

図14 床
サウナ室の床の構造

サウナ室の望ましい熱・空気の条件

より優れたサウナ体験を実現するための熱や空気の条件として、以下の重要な要素を考慮することが必要です。

  • 温度・湿度しつど
  • 輻射熱
  • 換気
  • ロウリュ

サウナ室の適温

サウナ室の室温(空気の温度)は、壁、天井、座席の材質、およびサウナストーブ上のサウナストーンの温度によっても影響を受けます。

適切なロウリュを行うサウナ室において、入浴者の頭の位置での理想的な温度は80~90℃とされています。

サウナ室の最適な室温は、構造、内装材、輻射、湿度、換気などによって異なりますが、一般的に若い人は高温を好み、年配の方は比較的低温を好む傾向があります。
これは、若い人が激しい発汗によって高温に対応できる一方で、年配の方は発汗能力が低いためです。

室温が95℃を超えると、ロウリュ時の蒸気が熱すぎて火傷のリスクが高まります。
また、室温が100℃に近づくと相対湿度が極端に低下し(ほぼ0%に近くなり)、不快で健康にも良くない状況が生じます。

室温はサーモスタットを用いて調節可能ですが、ストーブの設置方法やサウナ室の保温・断熱構造によって、室内の温度分布が大きく変わります。
足元が冷たく、頭が熱いサウナは不快であり、適切なサウナとは言えません。
ストーブを高く設置すると、室内空気が十分に対流せず、足元と頭の位置での温度差が大きくなりがちです。

ストーブは、室内空気が床から天井に向かって上昇し、天井から反対側の壁を通って床付近まで下降するような流れを作るために設置することが重要です。
また、保温層が不完全な場合、熱損失が大きくなるだけでなく、室内の温度分布も悪化します。

サウナストーブの位置による空気対流の違い

壁からの輻射熱が重要

輻射熱とは?

輻射熱(ふくしゃねつ)は、物体から直接エネルギーが放出され、他の物体に熱を伝達する現象です。
この過程では、熱エネルギーが空気などの媒体を通じて伝わるのではなく、電磁波(主に赤外線)の形で直接伝わります。例えば、太陽から地球に届く熱や、暖炉の前で感じる暖かさは輻射熱の一例です。

蒸風呂好太郎

サウナにおいても、サウナストーブや壁などから放出される輻射熱は、室内の温度分布や利用者の体感温度に影響を与えます。輻射熱によって、サウナ室内の熱が均一に分布し、心地よい暖かさを提供することができます。

サウナ室の温度分布には幅射作用も大きな影響を与えます。

サウナストーブの上に配置されたサウナストーンからは非常に高温の輻射熱が放射されます。
しかし、サウナ室の壁面などが充分に温められていない場合、入浴者はサウナストーンからの輻射熱を一方向からしか受けず、不快に感じることがあります。

湿った皮膚の表面は輻射熱を効果的に吸収し、壁面全体から均等に輻射熱を受けることで、入浴体験が向上します。
特に、壁面からの輻射熱は遠赤外線として知られ、人体に吸収されやすい性質を持っています。
この遠赤外線は体内に浸透し、発汗を促進するだけでなく、老廃物や脂肪の排出にも寄与し、健康に良い影響をもたらすことが期待されています。

さらに、サウナ室で人工的な蒸気(ロウリュ)を発生させることは、空気を膨張させて温度分布を均一化させるのに役立ちます。これにより、サウナ室内での入浴体験が快適になります。

サウナの輻射熱

サウナの換気(給気口と排気口)

サウナのような高温の場所では、空気の温度が上昇することで空気の体積が膨張し、酸素の濃度が減少します。そのため、十分な換気が不可欠です。

さらに、サウナを利用する入浴者は1時間におおよそ1リットル前後の汗をかきます。例えば、5人が同時に12分ずつサウナに入浴する場合、合計で1リットルの汗が発生し、一部はベンチにしみこんだ後に蒸発し、サウナ室内の空気中に含まれます。

したがって、サウナ室の換気は、呼吸による汚染だけでなく、発汗による汚染を防ぐためにも必要です。
換気によって新鮮な酸素を供給し、空気中の湿度を適切に保つことが快適なサウナ体験のために重要です。

理想的な給排気の位置

理想的な吸排気口の設置

新鮮な空気を取り入れるための給気口は、サウナストーブの近くの低い位置に配置し、排気口は給気口より少し高い位置に設置するのが理想的です。

この配置により、新鮮な空気が給気口からサウナストーブとサウナストーンの間を通り、加熱されて上昇します。
そして、温かい空気は天井に沿って流れ、反対側の壁に沿って下降します。
このプロセスによって、ベンチに座っている入浴者の身体から発生した汗が蒸発し、汗に含まれた湿度や汚染物質を含む空気は排気口から外部に排出されます。

この配置によって、サウナ室内の空気は効果的に循環し、入浴者にとって快適で清浄な環境を提供します。
新鮮な空気の供給と排気の効率的な処理は、良いサウナ体験を可能にするために非常に重要な要素です。

排気口が高い位置にある場合は新鮮空気が排出されるロスが発生する

排気口の位置が高すぎると、新鮮な空気が入浴者を温める前に室外に逃げてしまうため、効率的なサウナ体験を妨げることがあります。また、入浴者の発汗によって汚染された空気が排出されずにサウナ室内を循環するため、空気が汚染され続け、効率が低下します。

このような状況では、室内空気は長期間にわたって清浄になることが難しく、汚染が進行する一方です。
したがって、排気口の位置は入浴者が快適な温度に達する前に新鮮な空気を供給できるように設定することが重要です。
適切な位置に排気口を配置することで、サウナ室内の空気が効率的に循環し、清浄な環境を維持できます。

排気口が高い位置にある場合

排気口を高所にしか取り付けることができない場合の対応

排気口を高い位置にしか取り付けることができない場合、下記の図のように壁内に排気経路を設けることで対処できます。

この方法では、室内側の排気口を理想的な位置である下部に設置し、サウナ室外への排気口を高い位置に取り付けることができます。

壁内の排気経路を設ける方法として、塩ビやアルミダクトのパイプを使用することもできますし、サウナ内壁の化粧板と断熱層の壁面との間に通気層(15~25mm)を設けることで対応が可能です。
これにより、サウナ室内の空気を効率的に排出し、快適なサウナ体験を実現できます。

排気口を高所にしか取り付けることができない場合
蒸風呂好太郎

サウナ室の換気システムの詳細について、下記記事でも詳しく記載しておりますのでご覧ください。

著者の自宅サウナの給排気口

サウナ室外側から見た給気口
サウナ室内から見える給気口
サウナベンチの下に設置された排気口
浴室に排気されている
浴室側から見たサウナの排気口
浴室がファンによる強制排気なのでサウナ室の空気も強制的に引っ張られるようになっている

著者自宅サウナの建築図面

浴室の換気は吸気と排気のバランスをとる

浴室内では、湯気やサウナ室からの熱気などを排出するための強制排気装置が設置されます。
その場合は以下の点に留意することが重要です。

  • 換気の量は、1時間あたりの浴室の総体積の5倍以上を確保すれば、夏場でも浴室内で不快な蒸し暑さを感じずに済むとされています(冬季は状況に応じて換気量を調整します)。
  • 新鮮な空気の供給が不足すると、浴室に接続されている他の部屋(サウナ室、脱衣室、湯上がり室など)から空気を吸い込むことになります。これにより、サウナ室の温度が逃げたり、空調が効いた脱衣室の空気が無駄に排出され、結果として不経済となり、建物全体の空調能力や居住性にも影響を及ぼす可能性があります。

サウナ室の施工

サウナ室の壁材は横張りにする

昔、サウナの壁材は、縦に張るのが一般的でした。
その理由は壁材の端をあいじゃくりに加工する技術がなかったためです。

あいじゃくり加工

横張りの場合、壁材と壁材の間に隙聞があいてしまい、その隙間に水が溜まり、壁材はすぐに腐ってしまいました。
それを避けるために、壁材は縦に張っていたのです。
縦張りは見かけは良いのですが、大きな欠点として、壁の下の部分が腐った場合には、すべての板を取り替えなければならないという問題があります。

このような理由により、最近では壁材は横に張ることが勧められています

横張りには次のような利点があります。

サウナ室の壁を横張りにするメリット
  • 見かけが落ち着いており、サウナの壁全体が実際より小さく見える
  • 壁内の胴縁が縦になるので、通気層の空気の回りがよくなる
  • 壁材の下部が腐った場合、下の部分だけを替えられるので経済的

下記写真はサウナの壁を縦張りとした例です。
フィンランドサウナの伝統的な壁の貼り方で、現在でも人気はあるが技術的な利点はあまりない。

サウナの壁を縦張りとした例

下記はサウナの壁を横張りとした例です。技術的な面だけを考えれば横張りは縦張りよりも優れています。
そのため最近は横張にするサウナが多くなっている。

サウナの壁を横張りにした例

壁材をどのように納めるか

壁を施工するときに常に考えておかなければならないことは、よく乾燥した壁材を使用しても、いくらかの収縮が起こるいうことです。
反りを防止する意味でも、壁材はあいじゃくり継ぎ本実ほんざね継ぎで納めるようにします。

壁材の下端は床から100mm位上げるようにし、壁材が床の水分を吸収しないようにします。
壁材の表面は板全面によくカンナがけを行い、水滴が表面に溜まらないようにし、仕上げの塗料や防腐材などは塗らずに素地のままとします。
壁材を張るときには、床のほうから上に向かって張っていき、材料を効率よく使うためには小幅な板を組み合わせたほうがよいでしょう。

住宅用の無垢フローリング材(あいじゃくり本実ほんざね加工済み)をサウナの壁材として使用するのも良い考えでしょう。

壁の張り方では、大きなサウナの場合には壁材を縦に張ったほうが美しく見える場合もあります。

縦に張る場合でも壁材は相じゃくり継ぎや本実ほんざね継ぎで納め、隠しクギ打ちで取り付けます。
縦張りは部屋を堂々と高く見せ、伝統的な雰囲気が得られるのでなかなか捨て難いものですが、純粋に技術的に考えた場合には何の利点もないのです。
縦に張る場合は壁内の通気が難しくなりますが、縁を互い違いに配置するなどして通気層がよく機能するよう施工します。

板の張り方はドアや窓廻りから張り始め、隅の部分で材料が余らないようによく計算して施工します。
縦張りの場合、入陽の部分は押し縁を取り付けなくとも比較的美しく納まるでしょう。
天井と壁の境は横張りの場合と同様に納めます。
サウナストーブの周囲の壁や天井には、防火の目的で不燃材のタイルやパネル(大平板やフレキシブルボード)などを張るようにします。

サウナ室の壁材を納める際のポイント
  • 壁材はあいじゃくり継ぎ本実ほんざね継ぎで納める
  • 壁材の下端は床から100mmようにし、壁材が床の水分を吸収しないようにする
  • 壁材の表面は板全面によくカンナがけを行い、水滴が表面に溜まらないようにする
  • 住宅用の無垢フローリング材をサウナの壁材として使用するのもOK
  • 仕上げの塗料や防腐材などは塗らずに素地のままとする
  • 壁材を張るときには、床のほうから上に向かって張っていき、材料を効率よく使うためには小幅な板を組み合わせる

壁の入隅部分の納め方

壁の入隅の部分を美しく納めるためには様々な方法があります。

最も美しく仕上がるのは、壁材の端をそれぞれ45度にカットし突き付ける、いわゆる「留め納まり」にする方法ですが、加工が難しいのでただ単に押し縁を当てるようにしてもよいでしょう。
押し縁の角は面を取って、肌が当たっても痛くないようにします。

著者自宅サウナの入隅部分の納め方は押し縁を当てている

壁材の取付けではクギやネジの頭を露出させない

壁と天井の境目には空気の通る隙間を設けます。隙間は約10~20mmがよく、入浴者からは見えないようにします。

壁材の取付けは釘で打ち付けたりコーススレッドのような木ネジで留めますが、釘や木ネジの頭はサウナの熱で熱くなるので、クギや木ネジの頭が直接肌に触れないように頭をつぶしたり、隠し釘打ち、また木ネジの場合はダボの埋め木とします。

天井には断熱材と防湿材を

熱くなった空気は常に上に昇るので、サウナでは天井が一番熱くなります。内部の熱や湿気を逃がさないように、天井裏には防湿材と、少なくとも100mm、できれば200mmの厚さの断熱材を入れるようにします。通気層や防湿材などは壁の場合と同じ要領で施工します。天井に使用する材料は熱伝導率が低く、耐熱性がよく、吸音性がよいものならどんなものでも使用することができます。

天井は意外と目立ちますので、できるだけ入浴者の気が散らないものがよく、他の材料と調和するものを用います。

天井は大きなパネルでつくることも可能ですが、仕上げの塗料や防腐材を塗らない素地のままとするのは、壁の場合と同じことです。

床の施工

最も簡単なサウナ室の床の施工は、床を土間コンクリートでつくりモルタルの金ゴテ仕上げでの施工方法です。
その上の歩行部分にはカンナをかけたスノコ板を10~20mn位の隙間をあけて張ったものを置きます。

床の部分の温度はサウナ使用時でも30°C位にしかならないので、床からの熱損失に関してはそれほど厳密に考える必要はありません。
スノコ板などの木質のものは、他の材料より暖かく足触りも良く、入浴者が滑って転ぶのを防止する意味で優れています。

スノコ板の取付けは、クギで施工すると使用しているうちにクギの頭が浮いてくることがありますので、ステンレスの木ネジで取り付けるようにします。

スノコ板の下にはゴム足などを取り付け、床から若干上げることにより板が腐るのをある程度防止することができます。

スノコ板は入浴後取り外して乾かすことができるような構造にしておくと、常に清潔な状態を保つことができるでしょう。

床の仕上材として、タイルなどの磁器質の材料は耐久性があり、掃除が簡単であるなど機能的には優れています。

商業サウナのように定期的に暖められるサウナでは、メンテナンスのことを考えるとコンクリートやタイルだけの床のほうがよいでしょう。

サウナの床に入浴者が長時間とどまることはないので、どのような場合においても床材によってサウナの質が変わるようなことは比較的少ないでしょう。

サウナ室の床の施工のポイント
  • 床を土間コンクリートでつくりモルタルの金ゴテ仕上げとする
  • 歩行部分にはカンナをかけたスノコ板を10~20mn位の隙間をあけて張ったものを設置する
  • スノコ板の取付けは釘で施工せず、ステンレスの木ネジで取り付ける(釘の頭が浮いてくると危険)
  • スノコ板の下にはゴム足などを取り付け、床から若干上げることにより板が腐るのをある程度防止できる
  • スノコ板は入浴後取り外して乾かすことができるような構造にしておくと、常に清潔な状態を保つことができる
  • 床の仕上材としてタイルなどの磁器質の材料は耐久性があり、掃除が簡単であるなど機能的には優れているが費用が高価になる
商業用サウナでサウナ室の水洗いをする場合は排水溝を設ける

水洗いをするような前提の商業用サウナの場合は土間コンクリートの床は防水性のあるものとし、床面は若干の水勾配を取り排水口を設けます。
(家庭用の小さなサウナでは水洗いをしないので排水口は必要ありません。)

サウナの熱でトラップ(封水)の水はすぐに乾燥してしまいますので、排水口のトラップはサウナ内部に設けず、屋外の桝などで処理するようにします。

床面をモルタル金ゴテ仕上げでつくり、スノコ板を置く。
サウナ内部の掃除などのために排水口が必要(商業サウナの場合のみ)
2階などに木造で床を作る場合の床の防水施工

2階などに木造で床をつくる場合は、他の床と同様に根太を渡し、耐水合板を張り、仕上材は防水性のあるシート張りとします。
防水シートは壁の部分まで150mm位立ち上げておくようにし、床下には断熱材を入れ、保温をします。

昔のスモークサウナの床は土の地面のままだった?

昔のスモークサウナの床は地面の土のままでした。
地面の上にはスノコ板や、簡単に取り外しのできる床が置いてあり、歩行部分以外の床面は地面の土が見えていたのです。

この場合、水は地面に浸透させて処理していたのですが、現在では人里離れた場所以外このような床のサウナはできないでしょう。

サウナストーブの設置場所

サウナストーブは入浴者がサウナベンチに座りながら容易に石に水をかけられる位置に設置します。

電気式サウナストーブは小型のものであれば、一般に、壁掛けとして壁面に取り付けることができます。

どのタイプのサウナストーブでもその外面は非常に熱くなるので、サウナストーブ周囲の材料の選択については防火面での注意が必要です。
各自治体の火災予防条例により、壁や天井からどのくらい離さなければならないか寸法が決められているのでその方面の検討も必要です。

入浴者の歩行動線がサウナストーブの近くにあるようなときには、サウナストーブの外側に火傷防止のための柵をつくります。
サウナのような狭い室内では、つまずいたりして火傷をすることがよくあるので、この柵は重要なものです。
柵の構造は丈夫であれば簡単なものでよいでしょう。


サウナストーブの外側に棚を設けた例

サウナ室のドア

著者の自宅サウナ室のドア
建具屋さんのオーダーメイド品

木製ドアの詳細(建具たてぐ屋にオーダーする場合)

ガラスはできれば断熱耐熱性のある複層ガラスとし、仕上材を取り付けるネジやクギの頭は埋め木などをして隠す。

下記図はかなり気密性の高い納まりとしたドアの断面仕様。
ドア厚さは70~90mm位。

下記図は一般的なドアの断面仕様。ドア厚さは50~70mm位。

下記図はドアに設けるガラス窓の断面。
ドアは洗い場に面するので、ガラスはできれば断熱耐熱性のある複層ガラスを使用するが、網入りの要否はお住まいの消防の法令に基づくので確認が必要。

ドアはどんな場合でも外開きとする

昔のサウナのドアは高さが非常に低く、いつもしゃがんでサウナに入るようなものでした。
背の低いドアは内部の熱をあまり外に逃がさないという利点があります。

また、ドアの下枠の部分も床からかなり高くして、外部から冷たい空気が中に入り込まないような構造になっていました。
現在でもサウナのドアはなるべく小さなものを使いますが、下枠の位置が床から高くなったものはあまり見かけません。

下枠の戸当たりは、水ですぐに腐ってしまいますし、ドア下の隙間がサウナと洗い場の換気を促進するので、設けないほうがよいでしょう。

ドアの取付け位置はサウナストーブやベンチの配置によって決まります。

ドアからベンチまでの距離は近くすることが重要ですが、サウナストーブに触って火傷をしないようにストーブからの距離を保つことも必要です。

また、新で暖めるタイプのサウナストーブの場合、新を焚く作業との関係がありますので、この場合ドアはサウナストーブに近いことも必要です。

サウナのドアはどんな場合でも外開きとします
これは安全のためで、鍵なども一切付けず、ローラー空錠やオートヒンジなどで固定するようにします。

ローラー空錠

著者の自宅サウナのドアの蝶番は日東工器 オートヒンジを使用

著者は下記の日東工器オートヒンジを使用しています。
ストップメカニズム機能がありストップ角度:85°及び150°で開けっぱなしの固定が可能なためサウナ室の換気に利用しています。

ドアチェックや蝶番 (ちょうつがい)などは、熱で油が飛ぶのを防ぐため必ずサウナ室外に設けるようにしてください。

ドアは断熱し、ガラス窓をつける

ドア寸法の目安は、幅70cm、高さ190cmですが、幅60cm、高さ180cmでもよいでしょう。
ドアは木製で、ガラス窓の入ったものも用います。
子供のいる家庭なら、サウナベンチに座りながらガラス窓のついたドアを通して洗い場の子供たちを見ていることができます。
ガラスは、透明の網入りガラスを使用しますが、ドアの構造は断熱材などを挟み込んだ断熱ドアとして内部に防湿材を張り、サウナの湿気が外に出ないようにします。

ドアの吊り元はストーブ側にする

ドアがサウナストーブの近くにあるようでしたら、ドアの蝶番はサウナストーブ側の枠に取り付けます。こうすることにより、歩行部分を少しでもサウナストーブから離すことができます。

ドアの引き手は木製のものを


木製引き手の例
引き手は好みのものを選び、ネジでしっかりと固定する。

ドアの引き手は比較的熱くならないので安心して触れるという理由から木製のものを取り付けます。

フィンランドでは、森から曲がった枝を切ってきて自分でつくるのが一般的ですが、サウナメーカーにも美しい木製の引き手が用意されています。
引き手の取付けは確実に行います。
ドアが自動的に締まるよう、ドアクローザーやグラビティーヒンジなどを使用することもありますが、家庭用サウナでは一般的ではありません。

ただし、家庭用サウナでも自治体によっては火災予防条例などで常時閉鎖式のドアとして、ドアチェックの取付けを義務づけている場合もありますので確認が必要です。

どのような場合でもドアは簡単に開け閉めができ、締まったときにはタイトに締まるようにするのが基本です。

サウナ室の照明

間接照明で暗めのライティングがおすすめ

サウナでは暗めの間接照明にし、自分と向き合い瞑想できるような雰囲気にするのがおすすめです。
逆にサウナ室の照明が明るすぎると落ち着かない雰囲気になってしまいます。

最も理想的なサウナの照明は自然光ですがサウナの入浴は夕方や夜間が多いのですから、照明をつけて入浴することを仮定して考えます。

サウナの照明はぼんやりとした明るさが最上で、日本の多くのサウナの照明は一般に明るすぎます。
普通、裸になった人々は明るい照明の下では落ち着かなくなる傾向があります。

しかし、薄暗い空間では事故に対する安全も考えなければならないので、そのあたりの兼ね合いが難しいのです。

光源は白熱灯で住宅用のサウナでは40W位のものがよいでしょう。

下記写真は著者の自宅サウナの照明です。
ここではパナソニック サウナ用白熱灯 NLG86464を取り付けているがベンチの下の温度は40°C位にしかならないので白熱電球であればサウナ専用品で無くても十分利用可能と思われる。


ベンチの下に取り付けた照明器具(著者自宅サウナ)

サウナベンチの手前の壁に照明器具を埋め込んだ例

下記図はサウナベンチの手前の壁に照明器具を埋め込んだ例です。
前面には木製のルーバーをつけ、光源が入浴者から直接見えず、足元だけを照らすようにします。


サウナベンチの手前の壁に照明器具を埋め込んだ例

サウナベンチの下に照明器具を取り付けた例

下記図はサウナベンチの下に照明器具を取り付けた例です。
足元を明るくし、ベンチ板の隙間からもれてくる光はサウナ内部の雰囲気を高めてくれます。

サウナベンチの下に照明器具を取り付けた例

著者自宅サウナのサウナ室の照明はベンチ下に設置

天井面には照明具をつけない

照明用のランプは、光源が直接目に入らない位置に取り付けます。
一番良い取付け位置はベンチ手前の壁側面か、ベンチの下の部分で温度があまり高くならない場所です。
また、照明黒具自体を壁に埋め込むことができれば、そのほうが望ましいでしょう。

しかし、天井面には絶対に照明器具をつけないほうが良いでしょう。

天井面の照明を点灯させるともの暗い雰囲気を著しく損ないます。

照明器具や配線材料を選ぶ場合、サウナの熱に耐えられるもので耐水性のあるものを選びます。
しかし、照明器具をベンチの下など床面に近いところに取り付けるのであれば、その部分の温度は40°C位までしか上がらないので照明器具にはそれほどの耐熱性は要求されないでしょう。
(樹脂製のシェードの照明器具は溶けるので避けるべきです。)

サウナ内部の電気配線や器具については各自治体の火災予防条例で規定されている場合もあるので確認が必要です。
サウナの電気回路は専用の分岐回路とし、漏電ブレーカーを取り付けるようにします。

掃除やメンテナンスの際に天井照明は必要?

サウナ室内の掃除やヒーター等のメンテナンスの際には足元の間接照明だけでは暗くて作業がしづらいでしょう。
そういったメンテナンスのために別途、天井照明はあった方が便利です。
しかしLED投光器やポータブルランタン、もしくは懐中電灯などを用意できるのであれば天井照明は無くても良いでしょう。

窓の外側にランプを置く(屋外サウナ小屋等で電気が取れない場合)

フィンランドのサマーコテージなどでは、日常生活からできるだけ離れるという意味で、意識的に電気や水道を引かない原始的な生活を楽しむという人々が多くいます。
(その場合は電気サウナヒーターは使えず、薪ストーブをでサウナを温めることになりますが。)

もし、サウナに電気が来ていない場合には、照明にロウソクや灯油ランプを使うようにし、これらは窓の屋外側に置くようにします。

サウナの内部に置くとロウソクはサウナの熱で溶けてしまいますし、灯油ランプは熱で爆発することがあるかもしれません。
また、ロウソクや灯油ランプは匂いを発するので、サウナの雰囲気をも壊してしまうという観点からもロウソクや灯油ランプはサウナ室内側に置くのではなく、窓の屋外側に置くようにします。

サウナ対応LEDテープライト

こちらは公式にサウナの100℃でも使用可能と謳われています。
ベンチの下やバックレスト(背もたれ)の裏にLEDテープライトを仕込めば立派な間接照明サウナの出来上がりです。

SwitchBotのLEDテープライト

こちらは公式にサウナで使用できるとは書かれていませんが、仕様書には45℃まで対応していると記載があります。
そのためサウナ室は一番温度が低い床面なら通常約40℃ぐらいです。
そのため、床面の低い位置に限り、こちらのLEDテープライトは使用可能と思われます。

しかし著者では責任は取れませんので、使用される場合は自己責任でお願いいたします。

LEDライトは長持ちと言われていますが放熱をしないといけないと割と故障しやすい構造で、基本的に熱に弱いです。
一方、白熱電球はそもそもフィラメント自体が数百℃で燃焼しており、高温環境下でも使用可能です。

SwitchBotのLEDテープライトが使用可能となればスマートフォンから操作もできますし、サウナ室の照明の色調も自由自在に選べるようになります。

蒸風呂好太郎

SwitchBotのLEDテープライトならカラフルな照明でパリピ仕様のサウナ室にもできますね(笑)

メンテナンス用に明るめの照明も必要

上記のテープライトは間接照明として使うので基本暗めの照明です。
間接照明だけだとサウナ室の掃除やメンテナンスで明るさがある程度必要な時に暗すぎて困ります。

そのためサウナ室の高所に照明が必要となりますが、サウナ室の高所は100℃近くになることがあるため耐熱性のある照明器具が必要です。

パナソニック サウナ用白熱灯 NLG86464

蒸風呂好太郎

上記のような既製品のサウナ用照明でなくても、100℃の高熱に耐えれるようなガラス製ブラケットに白熱電球を入れればサウナ室天井部でも使用可能と思われます。

サウナ室の窓

景観が良い場所のサウナならぜひ窓を設けて欲しい

サウナ室は基本的に窓が無く、閉塞した環境です。
住宅のサウナ室にあまり面積を確保できなければ尚のこといっそう、閉塞感が際立ちます。

そのため立地上、景観が良くて且つ外から覗かれる心配がない環境であれば、ぜひサウナ室に窓を設けたいものです。

サウナ室の中から水平線に沈む夕陽を眺められるサウナ

サウナ室の窓ガラスには、断熱性を備えた複層ガラスを使用し、さらにサウナの高温に耐える耐熱性も必要です。単層ガラスでは断熱性が不足しており、ロウリュを行うとガラスが曇り、視界がほとんど遮られてしまいます。

窓は天井に設けてはいけない

フィンランドでは、昔からサウナにも小さな窓がありました。
サウナの窓には大切な役割があるので、窓はできる限り設けるようにします。

窓には次のような三つの役割があります。

  1. 窓を開けることにより入浴後の換気ができるので、サウナを衛生的な状態に保ちサウナ自体の寿命を長くすることができる。
  2. サウナ内部に陰影を与え、サウナのムードを高める。
  3. ベンチに座っている入浴者が外の景色を見ることができる。

窓の位置はヒートロスが少ない位置とすることが大切で、昔のスモークサウナのように、床の近くに窓を設けるのもよいでしょう。
窓からの明かりは床面を明るくし、ベンチの部分を暗くします。
しかし、天井に窓を取り付けることは絶対に避けなければなりません。
なぜならば、そこから多くの熱が逃げてしまうからです。

フィンランドにおいて一般的な入浴時刻は夕方ですが、夕陽を眺めることのできるように窓はできるだけ西側に設けるようにします。

また、朝入浴するような習慣のある人は、東側に窓を設け朝日が楽しめるようにするとよいでしょう。

窓の大きさは、サウナや洗い場ではできるだけ小さくし、熱が外部へ逃げるのを防ぎますが、脱衣室の窓はピクチャーウインドのような大きなものがよいでしょう。

サウナの窓に適切なガラス建材

せっかくサウナ室の大きなガラス窓から最高な景観を眺めることができても、窓ガラスに結露や曇りが発生しで見えなくなってしまっては台無しです。

蒸風呂好太郎

断熱性のない普通の単層ガラスだと、ロウリュをした瞬間に一瞬で曇りますよ!

景色の良いサウナ室の窓が結露で曇っていては残念だ

ガラス面の外側と内側の温度差が原因で結露や曇りが発生します。
そのため、結露を発生させないためには断熱性の高いガラス且つ高温に耐えれる耐熱ガラスを使用するようにすることが必要です。

蒸風呂好太郎

下記リンクのような真空ガラスが断熱性が高いのでおすすめです。
ガラス建材に関して著者は詳しくないのでご不明な点があればガラスメーカーにお問い合わせください。

サウナ室の温度計

正確な温度計を選定すべし

営業用サウナでは、保健所の規定に基づき、サウナ室の内外から温度を読み取ることができる温度計を設置しています。このほか、サウナヒーターの操作盤にはサーモユニットの温度表示が組み込まれることもあります。

家庭用サウナでは保健所の指導は必要ありませんが、利用者がサウナ室の温度を確認できるように温度計を設置するのが一般的です。

温度計の誤差

温度計は設置場所によって異なる温度を示すことがありますが、これは正常な現象です。この温度の違いは、温度計の反応速度の差によるものであり、測定の精度に問題があるわけではありません。

日常のサウナ利用では、これらの温度差が実際の使用において問題となることはほとんどありません。しかし、メンテナンスを行う際には、温度計の種類によって反応速度が異なることを理解し、設置場所による温度の違いに注意する必要があります。

温度計の種類と計測方式

温度測定の実験では、熱電対や水銀温度計、アルコール温度計が使用されます。

一例として、サウナヒーターのスイッチをONにしてからサーモが作動するまでの間、同じ場所に設置したアルコール温度計とサーモユニットの温度指示計、一般的なサウナ用丸型温度計の温度表示を記録したものがあります。

ここでは、丸型温度計とサーモユニット間で6.5℃、アルコール温度計で1.5℃の温度差が生じました。

この差はサーモスタットのON-OFF操作で温度が設定温度に保たれるため、問題ではありません。

これは丸型温度計やサーモユニットが不正確であることを意味するものではなく、構造上の特性による反応の遅れが原因であるため、問題ではありません。

サーモを開放にして熱バランスがとれるまで放っておけば、どれも同じ温度になります。

サウナ用湿度計しつどけいの信頼性—真実を暴く

市場に出回っているサウナ用湿度計の多くは、サウナの厳しい環境に適応するよう設計されていないため、信頼性に欠けることがあります。

実際に3つの異なる温湿度計をテストした結果、それぞれが大きく異なる数値を示しました。このことから、サウナ用湿度計は完全に信用するのではなく、あくまで参考程度に見るのが賢明です。

湿度計の針の動きは一定の傾向を示すため、これを理解し、自分なりに解釈して使用することで、より良いサウナ体験を実現できるでしょう。サウナ愛好家ならば、湿度計の読み取り方を学び、その情報を上手に活用することが重要です。

おすすめの温度計(日本製)

蒸風呂好太郎

こちらのクレセルのサウナ用温度計は業務用サウナによく使用されているものです。
製造が日本製なので温度計測が正確で信頼できる温度計です!

著者の自宅サウナではクレセルSA-150を使用している
¥8,176 (2023/11/15 09:10時点 | Amazon調べ)

サウナストーブ(電気式)

電気式サウナストーブの出力の選定

電気式サウナストーブの能力は1㎥につき1kWが目安

電気式サウナストーブは、サウナ室の容積に見合った出力のものを選ぶ必要があります。
ストーブが小さすぎると、サウナの暖まりが遅くなったり、十分なロウリュが得られなかったり、快適なサウナ体験ができないことがあります。

逆にストーブが大きすぎる場合の問題はほとんどありませんが、必要以上に大きいと電気容量が増え、不経済です。

サウナストーブには適切な空間規模がありますので、購入時にはしっかり確認が必要です。

目安として、1kWの出力で1㎥の容積をカバーすることが基準となります。
例えば、8㎥の容積のサウナには8kWの出力のサウナストーブが適切です。

また、サウナ内部に石の壁があったり、断熱が不十分な場合は、部屋の容積を大きめに考慮する必要があります。

また、電気式サウナストーブには温度をコントロールする制御盤(コントロールパネル)があります。
これは、一般に湿気などのない脱衣室の壁面に設置します。

このパネルのサーモスタットにより電気のオン、オフを繰り返してサウナの適温を維持するのです。
コントローラーには、室温が異常に高くなったときにスイッチを切る温度ヒューズや室内灯のスイッチなどが組み込まれています。

室内に取り付けるサーモスタットのセンサーやサウナストーブへの配線に関しては、耐熱防水電線を使用するなど熱に対しての対策が必要で、各自治体によっては火災予防条例の規定があるので、その方面の検討も必要です。

面積から算出

サウナ室の面積(㎡)サウナヒーターの出力(kW)
0.91.8
1.22.5
1.73.0
2.03.75
2.54.5
4.06.0
5.08.0
6.610.5
9.512.0
1315.0
1618.0
2021.0
2324.0
2627.0
3030.0
面積を目安にしたヒーター出力選定

容積から算出

サウナ室の容積(㎥)サウナヒーターの出力(kw)
2〜43
3〜74.5
5〜106
8〜128
9〜159
容積を目安にしたヒーター出力選定

電気式サウナストーブでは電気容量を十分に確保する

電気式サウナストーブを使用するためには、サウナに十分な電気容量が供給されていることが前提となります。
サウナの大きさにもよりますが、家庭用のサウナでも3〜6kWの電気容量がいるので、増築の場合には新たな幹線工事が必要になることもあります。

電気式サウナストーブは煙突が不要なので、高層住宅や都市部の密集地域でサウナをつくるのには便利なものです。

また、サウナの広さに制限されないので、小さなサウナから大きなものまで、どのようなものにも簡単に設置できます。
その他、工事が簡単で工事期間が短縮できる、設備のメンテナンスが簡単、新置場などのスペースが不要などの利点があります。

純粋に技術的な面からのみ考えると、電気式サウナストーブは最も優れたものだといえるでしょう。
質の面から考えると、ロウリュの熱のまろやかさなどは新で暖めるタイプのものの方が香りの面からも上質だというフィンランド人もいるようですがロウリュの質をそれほど気にしない場合には電気式サウナストーブは最適なものです。

また、暖めるのに時間がかからないので、入浴が不定期な場合やメンテナンスに煩わされたくないなど多忙な現代人にとっても理想的なものです。

良い電気式サウナストーブとは、まず最初にサウナストーブの石が暖まり続いてサウナ内部が暖まるものです。

石の熱で室内が暖まるのではなしに、電気暖房器のようにヒーターの熱によって部屋が暖まるようなものは絶対に使用しないことです。
なぜなら、ストーブ本体からの熱の反射は、サウナの入浴にとって不快なものとなるからです。

また、既に述べたようにストーブの石に水をかけることができるものを選ぶことは、良いサウナをつくるうえで基本的条件です。

サウナストーブに使う石の大きさや量は家庭用の小さなものでも25kg位の石の量が必要でしょう

ストーブを購入するときには価格のチェックとともに、サーモスタット機能や安全装置などのついたコントロールパネルは付属しているか?石も値段に含まれているか?また、メンテナンスはしてもらえるか?なども調べるようにします。

ほとんどの電気式サウナストーブのヒーターはネジで留めるかプラグイン方式になっており、ヒーターの交換が簡単に行える構造となっています。

サウナストーブ自体の寿命とは、ほとんどこのヒーターの寿命を意味します。
一般的には普通の使用頻度(1週間に2~3回の使用)で6年か7年でヒーターの交換が必要になってきます。

サウナストーブの個人輸入代行を承ります

著者は欧州からサウナヒーターの個人輸入の実績がございます。
サウナヒーターを輸入し、使用すれば日本の正規代理店で購入するより半額以下で購入することが可能です。

個人輸入のサウナヒーターに関してはPSEマークはございません。
日本において、PSEマークの無い電気用品の販売は法律により禁じられています。
これは、PSE(Product Safety of Electrical Appliance and Materials)マークが、日本国内の独自規格「電気用品安全法(電安法)」に基づく安全基準を満たしていることを示すマークであるためです。

個人輸入に関しては、原則として電安法の対象となる電気用品を個人が輸入する場合も、安全基準を満たす必要があります。
しかし、個人使用目的で少量を輸入する場合、一定の条件のもとで安全基準に適合していない製品の輸入が許可されることがあります。
ただし、これらの製品を再販売したり、他人に譲渡することは禁じられています。

水風呂設備

蒸風呂好太郎

下記記事でもチラーを備えた水風呂設備について詳しく解説しています!

チラー:ゼンスイ ZRW400/750

家庭用の水風呂の浴槽(300ℓ)程度であればこちらのゼンスイ ZRW400/750が最適です。

蒸風呂好太郎

ZRW750であれば30℃の水温で200ℓの量でも、約1時間で15℃ぐらいまで冷却可能です。(著者経験上)

接続配管口径:25A

ZRW750の資料

ZRWシリーズの実際の設置写真

奥:ZRW750
手前:循環ポンプPSPZ-2031B
塩ビの配管でチラーに接続されている
蒸風呂好太郎

こちらは以前取材させていただいた自宅サウナのチラー環境です。
こちらでは100V仕様のZRW400が使用されています。

写真は100V仕様のZRW400

ZRWのコントローラー

住宅の建設やリフォームのタイミングであれば下記写真のようにチラーのコントローラーを綺麗に壁に埋め込むことも可能です。

循環ポンプ(必須)

循環ポンプは三相電機(株)25PSPZシリーズが最適です。

上記でお勧めしたチラー:ゼンスイ ZRW750を使用するなら推奨循環流量は30〜80ℓ/min.です。

基本的には屋外使用するポンプのため下記の三相電機(株)の自吸式ヒューガルポンプ25PSPZシリーズを使用することになります。(メーカー公式に屋外使用可能)

100V仕様か200V仕様のどちらを選ぶべきかは、現場でどちらの電圧への接続がしやすいかに依ります。
200Vの方が定格電流値が低いので安全性やブレーカーへの負荷は低くなり安全です。

100V仕様であればポンプをよくあるWi-Fiスマートプラグを使用して遠隔操作ができるので、便利です。

循環ポンプPSPZ仕様表

使用する現場の電気周波数が50Hzか60Hzかをご確認ください。
周波数を誤ると機器の故障の原因となります。

循環ポンプ:25PSPZ-2031

接続配管口径:25A

接続配管口径:25A

循環ポンプの選定基準

チラーZRWシリーズの使用書によれば循環ポンプの推奨循環水量は下記の通りです。

チラーZRWシリーズの仕様書

浴槽からポンプまでの高さと配管距離(往復距離)を考慮し、下記の能力曲線から適切なポンプを選定します。
浴槽とポンプの間にヘアキャッチャーを挟むと摩擦損失が増加しますが、それを加味しても25PSPZ-2031は多少オーバースペック気味なぐらい循環量は十分担保できるでしょう。
※浴槽からの自然落下でポンプ吸入側に水が入るように、通常は水風呂より低い位置にポンプを設置します。(次項の浴槽と循環ポンプの配管取回しの際の注意事項を参照)

PSPZの性能曲線
ポンプの全揚程とは?

ポンプの全揚程とは、ポンプが液体を移動させる際に克服する必要がある総合的な圧力のことです。
これには、吸入側の負圧と、排出側の正圧が含まれます。
具体的には、ポンプが液体を吸い上げる際の吸入高さ、それを押し上げる際の圧力、およびシステム内の任意の摩擦損失やその他の損失を合わせたものです。

浴槽と循環ポンプの配管取り回しの際の注意事項

水風呂の浴槽に水を張った際の水位より上に配管が立ち上がらないようする必要があります。
言い換えると、水風呂の浴槽に水を張った際に循環ポンプの吸入側まで自然に水が落ちてくるように配管を組む必要があります。

配管取回しNG例

そうしなければ、一度ポンプが正常に揚水できていたとしてもその後長期間使用しないことで自然蒸発でポンプケーシング内の水が空になり、揚水できなくなるばかりかポンプが空運転になりポンプ及びチラーの故障の原因となります。

また、配管の取り回しが浴槽の水位より上に来た場合は、毎回循環ポンプに呼水(ポンプに手動で水を入れる作業)をしなければならなくなり、とても大変です。

逆に言い換えると、水風呂の浴槽に水を張った際の水位より上に配管が立ち上げないといけない場合は、しっかり呼水をすれば十分運用は可能です。

呼水とは?

ポンプの「呼水」とは、ポンプの使用開始前に、ポンプ内部と吸入管に液体を導入することです。
適切に呼水をすることにより、ポンプが液体を効率よく吸い上げられるように空気を排除し、適切な真空状態を作り出します。
呼水はポンプの初期稼動やメンテナンス後に特に重要です。

リフォームで既存のバスタブを水風呂として併用する場合

下記のように窓ガラス越しに配管が立ち上がっている場合は、ポンプ内に水が入っていることを十分確認しなければならない。
リフォームで既存のバスタブを水風呂として併用する場合、新築時のようにチラー用の配管の自由な施工が困難です。(都合よく窓側にチラーを設置できるようになっていればの話ですが。)
その場合は下記のようにガラス窓を樹脂製の窓に交換し、樹脂窓にホールソーで配管の穴を開けてシリコンシーラントで穴を埋める施工が可能です。

チラー付きの水風呂
窓ガラスを樹脂系のパネルに変更しパイプを通す穴あけ加工が施工されている

ヘアキャッチャー(推奨)

水風呂に入っていると経験上、どうしてもタオルの微細な糸くずや、髪の毛などで水が汚れていきますのでヘアキャッチャー(簡易濾過フィルター)を導入するのがお勧めです。

著者個人の環境では現状、ほぼ私しか水風呂に入らないためヘアキャッチャーを導入しておらず入浴後は水を毎回捨てて対応していますが水の汚れが気になります。
しかし、ご家族や友人等でも同じ水で入浴する場合は水にごみが目立つと気持ちが悪いのでヘアキャッチャーの導入をお勧めしています。

手前の丸い機器がヘアキャッチャー

ヘアキャチャーはあくまで糸屑などの大まかなごみを取り除いてくれますが、濾過器ではありませんので水質を浄化する機能はありません。
濾過器や塩素消毒を導入しない前提で設備の設計をご説明していますので、レジオネラ菌による感染症防止のために水は毎日入れ替えるようにしてください。

ヘアキャッチャー商品ページ(モノタロウ)

家庭用では下記の樹脂製ヘアキャッチャーで十分と思われます。

ショウエイ 樹脂製ヘアキャッチャMCI-25
ショウエイ 樹脂製ヘアキャッチャ MCI

接続配管口径が25Aのものを選んでください。

家庭用サウナの水風呂浴槽

大和重工 五右衛門風呂 小判型40(235ℓ)

大和重工 五右衛門風呂

蒸風呂好太郎

鋳物製(鉄)ですが、コーティング処理がされているので私の経験上2年半使用しても錆びていません。

大和重工 五右衛門風呂 丸型25(215ℓ)

大和重工 五右衛門風呂

蒸風呂好太郎

こちらは私が自宅で使っているものと同じです。
身長178cmの私では少し足が窮屈に感じていますので、上記の小判形サイズの方をお勧めしています。

アクリルバスタブ

蒸風呂好太郎

下記のようなアクリル製のバスタブもかっこいいと思います。

循環金具

下記写真のような開口率の大きな皿目の循環金具が適切です。

上記で紹介した大和重工 五右衛門風呂の場合、メーカーでの穴あけ加工が可能ですのでオーダーの際に指定の箇所に指定の大きさの穴を開けてもらいましょう。

循環金具に下記のような循環アダプタは使用不可

下記写真は某現場での水風呂浴槽の循環アダプタです。
25PSPZ-2031の循環ポンプを使用しているが、循環アダプタのストレーナ(フィルター)の目が細かすぎます。
循環アダプタの時点で流量が制限されてしまい、チラーの冷却能力を下げてしまうことになります。

糸くず等で目詰まりを起こすし、必要な循環流量を得られなくなる
一度の入浴でこんなに埃がびっしり詰まってしまう

またこのような目の細かい循環アダプタだと、ヘアキャチャーでゴミを取り除く手前で循環アダプタのストレーナにゴミが詰まってしまいます。
そうなるとポンプに負荷がかかりますし、循環水量が減少するため冷却能力が低下してしまいます

水風呂の給水栓

意外と見落としがちなのが水風呂への給水方法。
筆者は普通の水道の栓を使用していますが、水風呂が目標まで溜まるまでの時間を計測しスマートウォッチでタイマーを使用して手動で水を止めています。

蒸風呂好太郎

タイマーを設定し忘れて数時間水を出しっぱなしで溢れさせていたという、とても勿体無い失敗を何度もしてしまいました。

そのため、下記で紹介するような定量で勝手に止まってくれる定量止水機能付の水栓が必要になります。

LIXIL 定量止水付自在水栓 BF-B110

こちらはシンプルな単水栓タイプ。
温度調整ができないので、常温の水道水のみ接続することとなる。

蒸風呂好太郎

私の自宅サウナの水風呂で使用しています。

ワンタッチのコネクタで水風呂と接続して使用しています

おすすめ!LIXIL(リクシル)INAX 定量止水付サーモスタットバス水栓 BF-7340T

こちらはサーモスタット付きの定量止水水栓なので温度調節が可能。

これだとお湯を接続することもできるので、真冬の水道水が0℃近くなったとしても水風呂に湯を足すことで好みの水温まで上げることが可能。

水風呂の給水と合わせて温水用水栓を設ける方が良い

冬場の水道水の水温は0℃近くになることもあります。
上記で解説したゼンスイのチラーにも一応オプションでヒーターも搭載しているが、電熱式ヒーターのため200リットルもの水を温めるには効率が悪すぎます。

水を少し温めるだけなら家庭用の給湯器に接続された温水の水栓が水風呂にあれば良いのです。

蒸風呂好太郎

水温が10℃以下になると冷たすぎて水風呂に入る時間が短くなってしまいます。
水風呂好きな私は長時間水風呂に浸かっていたいので真冬でも15℃ぐらいの水温をキープしたいです。

新築で水風呂を入れるなら間違いなく水風呂に給湯できるスペックにした方が良いでしょう!
露天スペースの水風呂にお湯を張れば自宅で露天風呂的な使い方もできます。

外気浴スペース

ウッドデッキの建材

外気浴スペースにウッドデッキを設置する場合があるかと思いますが、水風呂と併設する場合頻繁に濡れることになるため使用する木材には耐水性と高耐久なものが求められます。

そのため、ウッドデッキの建材を選定する場合、天然木の場合はウリンアマゾンジャラを選ぶようにし、樹脂・人工木の場合も耐久性に信頼のおけるものを選ぶようにしてください。

蒸風呂好太郎
サウナエンジニア
LISOS合同会社代表。フィンランドのように日本でもあたりまえに各家庭にサウナのある生活様式を普及させるためにこのブログを始めました♨️

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